2020年9月後半
祝瓶山荘駐車場(6:00)→コカクナラ沢出合(6:30)→10m滝(7:12)→8m滝(7:43)→屈曲点856m(8:05)→ルンゼ状小沢(9:15)→登山道(10:02)→祝瓶山山頂(10:20、10:45)→桑住平(12:01)(12:14)→祝瓶山荘(13:00)
コカクナラ沢のGPSデータはこちら>>(整理してないそのままのデータです)
今回O女史からの誘いで祝瓶山の「コカクナラ沢」を遡行した。
今年、KUさんが8月下旬にカクナラ沢を狙っていたが林道が工事中で断念して角楢沢 下ノ沢に転進した経過がある。
しかし現在オンラインで確認する限りでは通行可にみえる。
ただこのアプローチに使う木地山ダム脇の林道は、いつも崩落などがあって以前釣りに来たときも大変だった記憶があった。
今回も通行可だとしても、当日の朝は雨予報なので何が起こるかわからない。
山岳会の会長のアドバイスで、土砂崩れなどで通行止めだったときのためにほかの沢の計画も設定してみた。
コカクナラ沢は祝瓶山の沢の中では初級のクラスだが、文献をみてみると、しばらく沢を休んでいた自分にとってはちょっと難しいレベルだといえる。
今回は自分が家庭の事情で戻る時間が決まっていて、時間がかかることも考えてなるべく朝早くの遡行開始を設定してみた。
当日の朝は小雨で昼にかけて徐々に天気が好転する予定。
アプローチの木地山ダム林道は、かなり狭く対向車が来たら運転が上手でないとアウト。
その細い林道を進み、ようやく林道終点の祝瓶山荘に到着した。
この山荘は個人の持ち物で自由に使えるものではないようだが、とりあえず近くの電話ボックス(登山届入れ)がある広場に駐車した。
すでに自分たちが到着したときには4台くらいクルマがとまっていて、朝ご飯を食べている人もいた。
その雰囲気をみると釣りが目的の人が多いようである。
準備を整えて6:00くらいに出発。
まずは野川にかかるつり橋を渡る予定だったが、現在は老朽化で使用禁止になっている。
登山道を歩く人にとってはかなり不便だが、沢登りの人や釣りの人は川の中を渡ればいいので問題はない。
野川を渡渉したら登山道左にある支流カクナラ沢へすぐ下る。
▼カクナラ沢に下り下流の野川をみる
カクナラ沢を少し遡行すると、左にコカクナラ沢の出合いがみえるので6:30遡行開始した。
コカクナラ沢の渓相は、始めは穏やかで砂州やゴーロなどで形成されているが、途中から祝瓶山に突きあげるように高度を上げ滝が多くなるのが特長である。
▼コカクナラ沢の下流は穏やか
▼コカクナラ沢の下流 徐々にゴーロがでてくる
今回はとにかく時間短縮のために、下流の楽な部分はほとんど休みなしで駆け抜けてみた。
滝もいくつかあるが、問題なく登れるレベルである。
7:12、難しくなるエリアの入り口にちょっと危険な10m直爆の滝がある。
▼コカクナラ沢 ゴーロから直瀑が見えてくる
ここの直登は自分たちには難しいので、記録のとおりに右岸の草付きから巻いてみた。
しかし記録の画像ではわからないが、草がもろく、加えて土壁に足がささらず滑りやすくちょっと危険。
▼コカクナラ沢 10m直瀑を右岸より巻く
祝瓶山に突きあげる沢の全体的な特徴として「草付きの高巻きは悪い」ようだ。
ここの悪い草付きも記録の写真ではなかなかわからなかった。
対応策として、軽アイゼンがあれば、このストレスが少し解消するのではないかと思案している。
ここを越えるとしばらくゴーロ帯が続く。
7:26、5m、5mの2段滝に到着。
下の滝は難なく登れたが、上の滝の直登ができず左岸から巻いた。
巻きはスラブでホールドが難しく、O女史の足裏にコブシでグリップをつくって上がってもらい、自分はスリングで引き上げてもらった。
その後にいくつか2~3m程度の小さな滝があるが、すべて簡単に越えることが可能である。
7:43に8m滝に到着。
記録で「巻きは悪い」と書いてある滝である。
見てみると右岸より巻くのがラクなようだ。
とりあえず巻こうか検討していると、O女史がヌルヌルの左壁をトライするということ。
滑落したときのためのバックアップをしていると、ぬるぬる壁をスルスルと登っていく。
自分も後に続くが、ステップがヌルヌルでゴム底にはつらい登りである。
ここではバックアップとしてロープを出してもらった。
なんとかヌルヌルの壁を登り切って草付きを少し登り、滝口へ進むが降り口がみつからない。
懸垂で降りようか検討していると、またO女史が滝口ぎりぎりに階段状のラインを見つけスルスル下降を開始する。
ここは一つ間違えると滝から滑落するので注意が必要であるがフリクションがきいているので大丈夫らしい。
自分は降りた女史の肩を借り、無事に沢床に戻る。
ここも女史のレベルの高さに助けられたラインだった。
しばらくゴーロ帯を登っていくと8:05に沢が右に大きく曲がる「屈曲点」に到着する。
正面は岩の塔が乱立していてこの先に攻略しなければならない高度が良くわかる。
ここを沢沿いに右に曲がって登山道方面に進む。
▼コカクナラ沢 上部屈曲地点を越えてすぐの風景
ゴーロ帯を進むと、8:33二又に到着するが、ここは左を登り上がる。
▼コカクナラ沢上部の二股 これを左へ
▼コカクナラ沢 二股を越えると沢が狭くなってくる
8:53に8mのスラブ滝が現れるが直登可能。
9:15、左に水の流れているスラブ、右に草が覆っている小沢(記録によってはルンゼと表現しているようだ)が切り上がっている二又に到着。
▼コカクナラ沢上部 スラブ滝
8年前当会のパーティーはこのスラブにロープを出して登っているが、調べた記録ではスラブ上部で敗退しているものもある。
検討した結果、今回は右の小沢を登ることにした。
▼コカクナラ沢最上部のルンゼ状支沢
小沢は難しいところはない。
途中灌木をつかみながらのチカラワザが必要なところはあるが、順調に高度を上げていくことができる。
ただほぼ60度以上の角度なので疲れがどんどんたまっていく。
途中からヤブに突入。
ヤブでは木にカラダを押し返されるが、つかまるところがある分、精神的なストレスはない。
ここも足もとの土壁に足がささりにくく滑りやすい。
小沢は休憩を1回いれただけで、なんとか登山道に到着することができた。
GPSで登山道に乗っていることがわかるのだが、その登山道自体がスラブ登攀なので、まだ沢の中にいるような錯覚を覚える。
この登山道は山頂近くになると急登でスラブが多く、初級者には難しいかもしれない。
ここを注意して山頂に登っていくと、晴れ間がようやく見え始める。
そして10:20くらいに山頂に到着し、ここで小休止を入れる。
山頂の景色は360度抜群の展望で、ガスがまだ少しあるが切れ目から下界が見えることもあり、すがすがしい気分になる。
これで太陽が出て暖かくなってくれれば助かるが、なかなか風がおさまらず、晴れ間も継続してくれないので、寒さで歯が鳴ってきた。
ここでO女史をうながして下山を開始する。
山頂にいる人の雰囲気から察すると、下山は西の急峻なヌルミ尾根を使わず、比較的なだらかな北のカクナラ尾根から赤鼻尾根を経由するのが一般的のようである。
今回は時間の関係があるので、注意してヌルミ尾根を下っていく。
ヌルミ尾根は一般の登山道としてはかなり角度が強い部類、スラブも多いので下る際は注意してほしい。
ここは沢靴のフリクションを最大限に発揮して下る。
山頂近くのスラブ登山道を越えると、急だが普通の土の登山道に変わるのでスピードを上げる。
途中、登山道の尾根から右にコカクナラ沢が見えて感慨深く感じた。
しばらく下ると登山道の角度が緩くなり、徐々に水平になっていき「桑住平」に到着、ここからつり橋までがちょっと遠い。
▼祝瓶荘と大朝日岳の道しるべ
コカクナラ沢の入渓は容易だっただけに、この水平移動はかなり遠く感じた。
登山道ではサルナシやヤマブドウがあって、女史がこれらを収穫するためにときどき小休止する。
もう山は秋のようだ。
そうこうしているうちに、渡れないつり橋に到着、直下の野川を渡渉しクルマに12:58に到着した。
▼野川の渡れない吊り橋
コカクナラ沢は、自分にとってはかなりレベルの高い登りだったので、気疲れでクタクタになってしまった。
だが、ここからの林道もかなりレベルが高いので注意して下りたい。
▼遡行図
コメント